kintoneは“技術者を育てる”開発プラットフォームだ
先日ITproに掲載された「kintoneは“働くママによりそう”開発プラットフォームだ」を読んで、ふと自分なりのタイトルがふと頭をよぎりました。FBのシェアで少し触れていますが、「技術者を育てる」というのもkintoneの枕詞として「働くママによりそう」、「開発者とユーザーを繋ぐ」に加わっても良いんじゃないかなぁと思ったのです。「技術者自身が楽しく作り、kintoneを通じて成長していける」、そしてこれがまた先の2要素にもフィードバックされると考えます。私自身はkintoneに出会ってちょうど2年、kintoneエバンジェリストにご指名を頂いてからもうすぐ1年目ということで、これまでの自身の取組みと共に、こんなタイトル付けができると感じた理由を今回「技術的な側面を中心」にまとめたいと思います。
kintoneとは
まずはkintoneのおさらいです。私なりには「kintone Café 福岡 Vol.1」で大方まとめさせてもらっていましたが、大きく認識も変わっていませんので大事なところを掻い摘んで振り返りたいと思います。
いわゆる概要はこうですね。「チームを強くするツール」を提供するサイボウズさんが提供する「データ」、「ワークフロー」、「コミュニケーション」を構成要素とする、誰でも簡単に業務アプリが作れてしまう「ファストシステム(Web−DB)」です。
そして、もたらされるものは、(ここも大きく変わっておらず)「ユーザ」、「プロバイダ(営業・技術)」の側面で次のように考えています。タイトルにも拘りがあって、それぞれが「kintoneを使って嬉しく、楽しいこと」です!「開発者とユーザーを繋ぐ」ことが出来る所以の一端でもあると思います。
自分なりにまとめると、・・・kintoneは簡単なアプリ作成からはじまり、「データ」、「ワークフロー」、「コミュニケーション」という機能の疎密も絶妙にコントロール出来ますし、カスタマイズ機能も強力です。一定の制約はあるにしても手直しにも強いので、案件クロージング・アプリ提供・享受にかかるコストはやはり他の様々な方法と比較しても低く、「ICTを使った業務改善」には最強・最短のツールだと思います。
kintoneは“技術者を育てる”開発プラットフォーム【考察・まとめ】
自身の振返りは長くなるので、先にタイトルたる所以の考察とまとめです。
kintoneはもともと優れた設計のREST APIやパワフルなJavaScriptカスタマイズ機能を有し、今日ではkintone Caféやcybozu.com developer networkといったコミュニティも充実してきたことで学習コストも低くなってきました。kintoneを通じて案件に対応しようとする時に技術者自身も楽しく作りながら、それに伴う成長の実感を得やすい開発プラットフォームになっています。「(技術者も)ユーザーの反応をファストに体現でき、納得・満足してもらえて」というサイクルを生み出しやすいというのが本質だと思いますが、技術マターで少し項目を挙げます。
- REST API 今では当たり前のREST/JSONという形式のAPIを提供するサービスの中でも優れた設計・バリエーションを有するので、簡単なリクエストからスタートしても使いこなそうとする過程でデータの取扱、RESTfulサービス周辺の技術的な知識・勘が養われる。JSONによるテキストベースのデータだけでなくファイルも取扱の対象となっている。勿論全知全能ではなくとも、全体としてv1のままここまで進化できているのも類を見ない
- JavaScript/CSS データやデータアクセス権限等を扱うREST APIだけでなく、その気になれば画面もパワフルにカスタマイズできるJavaScriptやCSSを読み込めるため、特にJSそのものや周辺ライブラリに触れるきっかけになり、kintoneに適用して試すという使い方もできる。kintone.proxy()というJSから外部サービスにAPIリクエストできるメソッドも更に可能性を広げてくれる
- 短いアップデートサイクル kintoneが1〜2ヶ月に1回というハイペースでアップデート・進化していくので、それをフォローするだけでもアイディア・技術の幅を広げることができる。また、今まで出来なかったことが次のアップデートで出来るようになるかもという期待・ワクワク感、出来るようになるはずという安心感が常にある
- 連携サービス kintone連携サービスまで手を伸ばすことで、周辺技術習得のきっかけが得られる。サードパーティが提供する連携サービスを使いこなすことも含まれるが、連携プログラムを別クラウドに設置する必要があればAWS等で構築したり、CMS連携の際にはMovableTypeやWordPressの知識を要したり、directのようなチャットと便利に連携させたい場合にはNode.jsやHubotに触れたりといったこと具合になる
- kintone Café まだkintoneに触れたことの無い方から、より高度なカスタマイズを行いたいと考えているプロフェッショナルの方まで幅広い層を対象に、 楽しく学び・教え合うことで、kintoneの魅力や活用法をみんなで共有するための勉強会コミュニティ(以上、kintone Café 理念)- 「kintone Café」(kintone Café運営事務局)の全国拡大に伴って、kintoneを学びながら、情報交換できる場が身近になってきた。2013年12月の「kintone Café at 札幌 Vol.1」を起源として、昨年2014年は各地で23回の開催回数を刻んでいる
- cybozu.com developer network 開発者(技術者)同士を繋ぐコミュニティ「cybozu.com developer network」(サイボウズ運営)を通じてkintone界隈の開発者間でコミュニケーションし、疑問や課題を解決するためのヒントや具体策を得ることができる。開設半年で1,000IDを超え、2/27(金)には同コミュニティのリアル版?である「kintone devCamp Vol.1」の開催も予定されている
- 充実してきたユースケース 「cybozu.com developer network」中の「サンプル」、「Tips」に加え、サードパーティのブログ(「kintoneを便利に使う方法を紹介するブログ」、「kintoneapp BLOG」etc.)等による実践に直結するユースケース・サンプルコードの充実に伴い、学習コスト低下が加速してきた
- 無償開発者ライセンス 「cybozu.com developer network」に登録することで、1年間無償の開発者ライセンスを申し込める。kintoneのREST APIやJavaScript APIをじっくり試し、これらのメリットを実感できる
後に触れますが、私は技術面で「REST API」と「JavaScript」はkintoneを通して学ばせてもらいました。また、いまだにDBのコマンドは打ったことはありませんが、これらの要素は私にファストに大きな成長をもたらしてくれたと思います。そして、ユーザーと対面しながらのモノづくりの楽しさをkintoneの醍醐味として覚えました。
いかがでしょうか?kintoneを通じて、技術者としての成長がユーザーの課題解決に近づくことに繋がり、・・・「開発者とユーザーを繋がり」、「働くママによりそう」ことにも繋がってきそうなイメージできそうでしょうか?いきなり「働くママによりそう」ところまでは想像が追いつかないかもしれませんが、「開発者とユーザーを繋ぐ」まではイメージしてもらえるのではないでしょうか?実は私自身が実感として語れる部分も「開発者とユーザーを繋ぐ」までで、「働くママによりそう」は今まさにジョイゾーメンバーが新たな切り口で実践中です。
私の説明がイマイチということもあるかもしれませんが、kintoneは自分で触って、好きになっていくツールでもあると思いますので、興味を持って頂いた方は是非イジって実感してもらえればと思います。
kintoneは“技術者を育てる”開発プラットフォーム【自身の振返り】
私はタイトル通り自身がkintoneを通じて技術的にも成長させてもらった存在だと思っています。また表現を増やすなら「kintoneは最高の教材」でもありました。
ということで、自分のkintoneへの取組みの振返りたいと思います。
kintoneに出会ったのはニシム電子工業(サイボウズシルバーパートナー)時代M2Mに関わり出して3年目の2013年の2月のこと。M2M(Machine to machine)で連携できるサービスを探していた先輩がkintoneを見つけてきました。私自身の最初の印象は「NAS+ExcelかGoogleスプレッドシートとかで十分じゃないですか?」でした(^^; まずは、kintoneのパートナー認定資格であるCD(Cloud Developer)の講習会に行きました。APIはもとよりDBはおろかプログラムも学生時代研究用のC言語にJavaをちょっとかじった程度から7年経っているという状況からのスタートで、PHPでkintoneのAPIをリクエストするということを通して「REST API」を学び、kintone上の画面をカスタマイズするということを通して「JavaScript」、「CSS」を学んでいきました。kintoneのREST APIは当時ドキュメントが申込制でググって情報が出てくるというものでもなかったので、はじめ苦労しました。ただ、いまだアプリを作るのに、このように多少のコードは書くようになりましたが、DBのコマンドを打ったことはありません。kintoneがあったからです。
(kViewerのTimelineカスタマイズで、「kintoneへの取組み振返り」)
しかし、kintone最初の案件がいきなり太陽光とある意味得意分野で、しかもM2Mに発展(クラウドWatch)し、M2M2kintoneな案件となれば、熊本や愛媛の農場に行ったり、宮崎や鹿児島のインターネットも届かなさそうな現場に足を運んでは、客先で作ったアプリを要望が出たその場で修正したり、カスタマイズコードを復路で修正したりということをやっていました。
振り返れば、・・・まさしくkintoneを通じた「技術者とユーザーの繋がり」を楽しみながら、kintoneを便利に使って「お客さまに価値提供する(課題解決にあたる)」、「技術的に必要な機能を追加する」プロセスによる多くの学びと成長を実感し始めた時だったのだと思います。ちなみに、一応企画と営業の部門にいましたので、カスタマイズのやりすぎ感が否めませんが、kintoneであれば営業でも技術スタッフの帯同をお願いして要件を詰めるといった作業をスキップできるというのは体現できたのではないかと思います。
そして、kintone等を扱う開発者コミュニティサイト「cybozu.com developer network」の開設(2014年4月)と同時に選出されたkintoneエバンジェリストにご指名を頂いたことをきっかけに自身でもkintoneの勉強会コミュニティである「kintone Café」の福岡版として「kintone Café 福岡」のVol.1〜3を主催し、各地のkintone Caféや沖縄のkintothon等遠方のkintoneイベントにも度々顔を出すようになりました。普段の福岡・九州という自身の枠の中での活動が、こういったコミュニティを通じて一気に刺激と広がりを帯び出した時です。
このコミュニティを通じたご縁で、私はニシム電子工業から九州電力の電力保安通信(法律で義務付けられている電力会社専用の社内通信網)を司る電子通信部門に復帰して3ヶ月後、・・・「全てのサイボウズプロダクトに精通する」四宮さんが代表を務めるジョイゾー(サイボウズSIパートナー)へと転職します。四宮さんは東京から福岡までわざわざ話に来てくれましたが、「Enjoy IT, Enjoy LIFE」というのスローガン、「システム39」という新しいSI・サービスの形を体現されているところに勝手に共感していましたので、あまり多くの説明を求め合うこともなく決断していました。これは「kintone転職」ですね^^ 「光ファイバ心線貸しの事業移管」といった重要ミッションへの取り組みの最中「送別会」ではなく「壮行会」として送り出してくれた九州電力電子通信部門の仲間への感謝も絶えないところです。SIerとして、kintoneを通じて「自身もユーザーさんもみんなハッピー」を共有できるような取組みをしたい、と上京し丁度3ヶ月が経ったところです。これからもkintoneがファストに進化していくように私もここまでに述べたコミュニティと共にまだまだ成長していきます!
結びにかかりますが、・・・kintoneへの取組みによる成長、そのポイントは「優れた機能を備えたサービス」の上に形成された「コミュニティ」、「繋がり」、「楽しさとその共有」のサイクルに入り込むことだとまとめながら感じました。読んで頂いた方の中で、「kintone触って業務改善に挑んでみよう!そして、そこにある楽しさを感じ共有してみたい」と思ってもらえる方がいらっしゃれば幸いですし、実際に触れてみて、コミュニティに加わってもらい、どこかのCaféでお会いできれば最高だなと思っています!
p.s. こういうまとめでは良いことばかりだけでなく、残念なところにも触れた方が良いと思いますが、kintoneの場合はだいたいアップデートとコミュニティによってフォローされることがわかっていて、気にしたことありませんので、無しで(笑)